アトピー性皮膚炎



小児アトピー性皮膚炎によるProactive外用療法

国立成育医療センター 〜大矢幸弘先生講演会より〜

@アトピー性皮膚炎皮膚炎の外用療法(塗り薬)は、アトピー性皮膚炎の湿疹が改善した後でも間欠的にステロイドの外用薬を塗って皮膚が良い状態を維持したまま、徐々に保湿剤を塗る日を増やしていくProactive療法が大切です。
二歳以上のお子さんでは、ステロイドの外用薬の代わりに、プロトピック軟膏を顔につけるProactive療法も有効です。

AProactive療法のほうが、湿疹が悪化した時だけステロイドの外用薬を塗るReactive療法よりもアトピー性皮膚炎の再発が少ないというメリットがあります。

BProactive療法中に、アトピー性皮膚炎が急に悪化したら、ステロイドの外用薬を一定期間塗り続けて湿疹の改善をします。
その後、よくなってからProactive療法に戻ればよいのです。ここで重要なことは、Proactive療法で皮ふの良い状態を維持していた方が、アトピー性皮膚炎が再発した時にステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の効果が良く出るという特徴があります。

C例えばステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の外用薬を連日使用して、お肌がきれいになりましたら、一日おきにステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の外用薬を保湿剤と交代(隔日)に塗り替えてみます。これでProactive療法の開始となります。この状態をしばらく続けて、お肌がきれいであれば2日おきにステロイドの外用薬やプロトピック軟膏を塗る方法に切り替えて、ゆっくりとステロイドの外用薬をプロトピック軟膏の外用薬を塗る期間を少しずつあけていきます。

DProactive療法は伸長ののびは良いです。

EProactive療法を進めていきますと、アレルギー反応の原因を示す総IgE値が次第に下がっていきます。

FProactive療法治療を進めていきますと、卵や牛乳に対するアレルギー原因を持つ卵白IgE値や牛乳IgE値が次第に下がっていきます。

Gすなわち、アトピー性皮膚炎のお肌をきれいに維持していた方が、食物アレルギーが改善するという効果があります。

HProactive療法は湿疹がゼロになってから初めて開始するのが大切です。

I重症のアトピー性皮膚炎では、はじめはステロイドの外用薬を塗って、お肌がきれいになってからステロイドの外用薬をプロトピック軟膏を併用すると良い傾向があります。

J顔のアトピー性皮膚炎は、湿疹が消失したらプロトピック軟膏の外用薬のProactive外用療法を開始します。具体的には、ステロイドの外用薬を塗ってお肌が良くなったらプロトピック軟膏をしばらく塗って、その後間隔をあけてステロイドの外用薬を塗り、さらにその後、プロトピック軟膏に変更します。
これを繰り返していき、ステロイドの外用薬をプロトピックの外用薬を塗る間隔を少しずつのばしていきます。

KProactive外用療法で最も大切なのは、ステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の外用薬できれいになっても、その後も保湿剤を塗り続けることです。





近年特に増加しているアレルギーの病気です。
症状は早い時には1〜3ヶ月の、生まれて間もない赤ちゃんからみられます。
かさかさした肌で赤ちゃんのようなすべすべしたきれいな肌でないのが特徴です。

よくお母さん方は「乳児湿疹がなかなか治らない」と言って来院されますが、その多くはアトピー性皮膚炎なのです。適切な治療をきちっとおこなえば赤ちゃんのアトピーは早く治すことが出来るのです。



治療はステロイドのぬり薬が主体になります。
アトピーの症状が重い時に、ワセリンやヒルドイドなどの保湿剤だけをぬっても全く効果はありません。

皮膚の状態に合わせて適切なステロイドのぬり薬をきちんと適切な量と適切な日数を使用することが大切なキーポイントです。
皮膚の表面にアトピー性皮フ炎がひどい時には、その皮膚の下の皮下の部分も炎症をおこしています。

ぬり薬は、一番表面のところから効果が出てきますが、皮膚の表面がきれいになってもそれでぬるのをすぐに止めてしまうと皮下の部分の炎症は治ったことにはなりません。

皮膚の表面だけではなく、皮下の部分の炎症を治さないとアトピーは治らないのです。つまり皮膚表面がきれいに改善しても、その後一定の日数はぬり薬をぬりつづけないと皮下の部分の炎症は治りません。

よくあることですが3日つけてよくなったのがステロイドのぬり薬を止めたところ、その後すぐに皮膚炎が悪化したというのは、ぬる日数が足りないのです。



それに加えて一回のぬる量も大切です。
私は外来でこのくらいぬりましょうとぬる量を患者さんのお母さんにお見せしていますが、しっかりした量を一回にぬらないと効果は出ません。一回量があまりに少ないといくら効果のあるステロイドのぬり薬でも効果は出ません。


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