「乳児の気管支ぜん息治療の問題点」


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〜順天堂浦安病院 松原知代先生講演会より〜

@赤ちゃんの「ぜん息」でも、肺の中の気管支(空気が通る道)の
壁が厚くなる「リモデリング」という、変化がすでに見られていますので、早期に治療を開始しなければいけません。
厚くなった気管支の壁は元に戻る事があまりないからです。

A鼻みずの多いぜん息のお子さん(学童)では、副鼻腔炎(蓄膿症)の合併を考えて、抗生剤(クラバモックス)を6週間内服すると、ぜん息が改善してくることがわかっています。鼻汁の多い赤ちゃんのぜん息でも同じような治療も良いのではと推測されます。

B赤ちゃんのぜん息で、感染による「ぜん息発作」を頻回に繰り返す場合は、体を感染から守るために働く「免疫グロブリン」というタンパク質の一部が欠損していることが多くみられます。この時にはぜん息の治療だけではなく、欠損している免疫グロブリンを点滴で定期的に補充する治療が必要になります。

C赤ちゃんのぜん息治療をしっかりとしているにもかかわらず繰り返す喘鳴のぜん息があります。
特徴は
a)ステロイドの内服をしても改善しません。
b)気管支を拡げる吸入薬をしても喘鳴の改善がよくなりません。
  
この場合は、GERD(胃食道逆流症)が考えられます。
a)胃から食道に胃の内容物が逆流してしまい、その結果として気管支が収縮して「ぜん息」がおきるのです。
b)手術治療か、もしくは胃炎・食道炎のお薬(ガスター、ガスモチン)での治療が必要です。
※ぜん息のお薬は効きません。

D赤ちゃんのぜん息は、どこから症状が出たかというのは難しいことが多いですので、赤ちゃんにぜん息の可能性がみられたら、ぜん息の治療を開始して、良くなれば良いのかと考えられます。




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