「ぜん息」との上手なつきあい方
@ヒューヒュー・ゼイゼイする呼吸音が聞こえたり、お子さんが呼吸困難を訴える、いわゆる「典型的なぜん息発作」は、お母さん方はすぐに気づかれることが多いのですが、咳がひどい・咳き込む・咳き込んで嘔吐してしまう・夜間、咳がひどくて眠れない・朝方や夜間は咳がひどいが、日中はあまり出ない、というような「ぜん息発作」は、気づかれることが案外少ない傾向にあります。
A上記のような「気づかれにくい症状」があれば、「ぜん息」を考えて、治療をした方がよいでしょう。ぜん息の素因がないお子さんは、このような症状は全く出ないからです。
B「ぜん息かな?」と思ったら、病院で診察を受け、治療してみることが大切です。早期発見・早期治療すれば、軽症なら2週間程度のお薬で、症状はよくなります。
C始めのうちは、短期の2週間治療でもよいので、まず症状を治すことが大切です。繰り返しますが、ぜん息の素因のないお子さんでは、特別な咳の症状は出ません。
D「咳」の症状を、「気管支炎」と「ぜん息」で、どう区別するのかというのは、専門家でも難しいことがあります。「気管支炎」は、咳が少しひどい程度で「痰がからむ」のが特徴で、@のような症状は出ません。ただし、「ぜん息」のお子さんが、何らかの感染(細菌感染やウイルス感染)で「気管支炎」をおこすと、「ぜん息」の症状は、一気に悪化します。
「気管支炎」は、「ぜん息」のお子さん以外でも普通にみられます。「ぜん息」の咳は、発作が重いと「痰のからまない乾いた咳」となるのが特徴です。
E「ぜん息」には、発作が出やすい季節があります。主に、「梅雨」と「秋」の季節の変わり目に多くみられます。また、お天気の影響を受けやすい「ぜん息」のお子さんは意外と多く、雨や気温の急激な低下がみられる前に、咳が始まることがよくあります。「気管支炎」では、このような季節の影響を受けることは特になく、一年中みられます。
F「ぜん息」の治療のお薬は、とてもよいものが沢山あります。お薬にも「相性」がありますので、Aのお薬があまり効かなくても、Bのお薬が効くことがあります。まず、お薬による治療を始めてみることが重要です。
1回の治療が2週間前後で「ぜん息」の症状がなくなった場合でも、この2週間の治療が月に1回〜年に6回と回数が多い場合は、「ぜん息」の発作が長期間続いていることになりますので、「ぜん息」の治療は長期に必要になります。「ぜん息」は、気管支や肺の中の慢性の火事のようなものですから、「ぼや」が何回も続く時は、火事が消えていないことになります。火事は消さなければ、火事の焼け跡が残ってしまって、気管支や肺がダメージを受けていくのです。お子さんのうちに「ぜん息」は治しましょう。
G定期的に「ぜん息」のお薬を使われているお子さんは、発作はあまり出ずにすみます。症状がない時の治療こそが、「ぜん息」には、実は最も有効な治療法なのです。
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