とびひの対処法
〜神奈川県立こども医療センター 皮膚科 馬場直子先生 講演会より〜
@とびひのところに消毒薬をぬるのは、とびひの部分の皮膚の改善を遅らせてしまうので、よくありません。
A抗生剤のよく効くタイプのとびひは・・・・
・早期に治療を開始すれば、90%は一週間以内に治ります。
・治るまでに、抗生剤の内服は二週間以内で終了できています。
・治療の開始が、とびひになってから7日以上たってしまうと、治るのに時間がかかります。
B抗生剤の効きにくいタイプのとびひは・・・・
・早期に治療を開始しても、治るのに時間がかかります。
・治るまでに、抗生剤の内服を二週間以上必要としました。
・ホスミシン・ミノマイシン・バンコマイシンなどのお薬が、とてもよく効きます。
Cとびひは、その原因菌により症状の差があり、注意も必要です。
D連鎖球菌性膿か疹(溶連菌が原因のとびひ)は、
1)季節を問わず、一年中みられます。
2)「発熱」・「のどの痛み」・「リンパ節の腫れ」を伴うことがあります。
3)溶連菌が原因ですので、抗生剤の10〜14日間の内服が必要となります。
(溶連菌感染に伴う、感染後の糸球体腎炎の出現に注意が必要です。)
4)発疹は「か皮性」で、じくじくしていますが、「水ほう」はみられません。
E黄色ブドウ球菌性膿か疹(ブドウ球菌が原因のとびひ)は、
1)初夏から初秋に多くみられます。
2)初めに、鼻の周囲に発疹ができることが多い傾向にあります。
3)重症なタイプでは、「SSSS」と言って、次の症状があらわれます。
(A)顔がむくんだように腫れてきます。まぶたも腫れます。
(B)皮膚が腫れて痛くなります。
(C)関節などの皮膚の摩擦部位に、赤い発疹があるのが特徴です。
(D)外陰部にびらん(ただれ)ができます。
(E)2〜3日で症状が急激に悪化しますので、しばしば入院治療が必要となります。
(F)全身状態が明らかに悪いのが、よくわかります。
Fゲンタシン軟膏は、ほとんど効きません。
G消毒は、とびひには必要ありません。
Hかゆみを伴う時は、かゆみ止めののみ薬を併用した方が、とびひの「かきこわし」を防ぐことができます。
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