アトピー性皮膚炎患者さんへの一言メッセージ


<<Back   Next>>
〜東京逓信病院皮膚科 江藤隆史先生 講演会より〜

アトピー性皮膚炎の患者さんで、ステロイドのぬり薬を使いたがらない方の多くは、次の副作用を心配しています。

@顔が丸くなる
A骨がもろくなる
B色が黒くなる
C光に当たって異常な反応を起こし、黒くなる
D皮膚が象のように硬くなる・厚くなる

実はこの中で、ぬり薬で起こる副作用は、強力なステロイドと長期(例えば一ヶ月半)全身に使い続けた時に、非常にまれですが、@とAが起こる可能性があります。通常の治療では、強力なステロイドを長期に大量にぬることはありませんので、@もAも起こらないはずです。アトピー性皮膚炎の火事が治った後の色素沈着はありますが、B・C・Dについては、全くありません。

1.ステロイドのぬり薬の使い方で最も重要なことは、一定量を一定期間、きちんとぬることです。少し使ってよくなるとやめてしまい、また少しぬってよくなるとやめてしまうということを繰り返していると、皮膚は中途半端な火事の状態が続いてしまい、まるで炭火のような火事になり、皮膚の色が黒く厚くなり、いわゆる「苔癬化(たいせんか)」という状態になり、皮膚が厚ぼったく黒くなるのです。
従って、「ステロイドのぬり薬で皮膚が黒くなる・厚くなることは絶対にないので、しっかり使いましょう」ということが大切です。

2.しっかりしたぬり薬の治療はどのように行うのか、ということですが、finger tip unit (FTU) といって、指先から第一関節までのばして乗せたぬり薬の量が0.5gで、この量で手のひら2枚、つまりちょうど顔の大きさになりますが、このようにぬった時のベトベト感をまず実感して下さい。つまり、「finger tip unit をしっかり行うこと」が大切です。

3.プロトピック軟膏(主に顔面に使用する新しいアトピーのぬり薬)は、リンパ腫という病気になるのではないか、怖い薬ではないかなどといろいろ言われますが、このぬり薬は正常な皮膚には入りません。従って、正常に近いよい状態を保つためには、ステロイドのぬり薬をぬり続けるよりは、プロトピック軟膏をぬっていれば、皮膚の穴のあいたところ(アトピー性皮膚炎の火事のあるところ)だけをふさいでくれるような治療になります。
プロトピック軟膏は、週2〜3回ぬれば、十分によい状態を保ってくれるのです。

「プロトピック軟膏は安全です」

4.きちんと治療をして、ある程度良くなれば、ステロイドのぬり薬はいりません。プロトピック軟膏もいらなくなります。保湿剤だけでよいのです。スキンケアさえしていればよいのです。

「よくなってもスキンケアは継続しましょう」



<<戻る
<<TOP

(c)たんぽぽこどもクリニック

powered by モバプラス