乳幼児アトピー性皮膚炎のにおけるスキンケアとプロアクティブ療法
国立成育医療研究センター 大矢幸広先生講演会
@アトピー性皮膚炎ではステロイドの外用(塗り薬)やプロトピック軟膏の外用で皮膚の炎症をなくして寛解導入にしていくことが大切です。
Aアトピー性皮膚炎では寛解導入後(皮疹の消失後)にきれいに皮膚を保つことが大切です。この時に用いるのがヒルドイドなどの保湿剤です。
Bアトピー性皮膚炎では、見ても、触れても湿疹がゼロの状態にすることが重要です。
Cアトピー性皮膚炎で、適切な強さのステロイドの外用やプロトピック軟膏の外用を適量使っているにもかかわらず皮疹が改善しない場合は外用薬が弱すぎるか又は皮膚に真菌などがいることがあります。
D石けんを泡立てて使用して、しっかりとよくすすいで石けんをおとしましょう。石けんで皮膚の表面の細菌を洗いおとしますが、皮膚に石けんが残っていますと皮膚のバリア障害がおこりますので、石けんはしっかりと洗い落すことが大切です。
Eステロイドや保湿剤の外用は「薄皮を覆うように」なるべく「均一に」塗った方がよいのです。すりこむのは「均一にならない」のでダメです。
F再燃しやすいアトピー性皮膚炎には「プロアクティブ療法」が良いでしょう。
プロアクティブ療法は〜
A)皮疹がない状態でも週に2〜3回と間欠的にステロドの外用をする治療です。
これはステロイドの副作用を回避するためです。
B)アトピー性皮膚炎は年単位の治療が必要になる慢性疾患です。
ステロイドの外用を毎日塗りつづけますと皮膚が薄くなる可能性はありますが、週2〜3回と間欠的に塗るのであればその心配はありません。
C)ステロイドの外用で湿疹が速く消えたところには早期に保湿剤へ変更して、湿疹の改善が遅かったところにはプロアクティブ療法でしつこくせめるという「塗り分け」が大切です。
D)プロアクティブ療法で皮膚がきれいになりますと自然治ゆ力が高まってきます。
E)プロアクティブ療法でアレルゲンによる皮膚感作を受ける可能性が残ります。
Gプールに入る前に皮膚に「プロペト」を塗っておきますと、プールに入ってもアトピー性皮膚炎が悪化せずに済みます。
Hヒルドイドもステロイドと同様に弱酸性の外用剤ですので、アトピー性皮膚炎のお子さんにはヒルドイドは最も良い保湿剤ということになります。
I赤ちゃんの口の周りのよだれのかぶれはプロペトを塗ると良いでしょう。
Jアトピー性皮膚炎の発疹が悪化した時だけステロイドを外用するリアクティブ療法は炎症を根絶することは困難です。
これに対して、間欠的にステロイドの外用をするプロアクティブ療法は炎症を根絶することが出来ます。
プロアクティブ療法のお子さんはリアクティブ療法のお子さんに比べて、治療開始2年后でアレルギーの検査の数値の値が下がり、身長の伸びも良かった事がわかっています。
Kアトピー性皮膚炎の皮膚にヘルペスウイルス感染を合併してきますとステロイドの外用薬を塗っただけでは治りません。
皮膚のヘルペス感染症を起こしますと、目にヘルペス性角結膜炎を起こして失明することがありますので入院治療が必要になります。
Lハイリスクの両親(両親のいずれかがアトピー性皮膚炎)から生まれた新生児に保湿剤を塗りますと赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を抑制できる可能性があります。
M乳児期の早期に皮膚をきれいにしていた方が食物アレルギーの発症を予防出来ます。食物アレルギーの予防や治療のためにも湿疹のコントロールが重要な役割をはたします。
<<戻る
<<TOP
(c)たんぽぽこどもクリニック