小児のぜん息と漢方薬治療


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小児のぜん息と漢方薬治療

ぜん息の症状に応じて次の様にそれぞれ漢方薬の使い方が異なります。

@麻杏甘石湯
お子さんのぜん息の発作が急性期で症状が重い時(咳がひどくて眠れない、咳とともに吐いてしまう、咳き込みがひどいetc)には、麻杏甘石湯を服用しますと発作が急速に改善されます。
ぜん息の急性期では肺の気管支が腫れてむくんだ状態になっています。麻杏甘石湯に含まれる「麻黄」と「石膏」の組み合わせが、むくんだ気管支の水分を体の内側に移動して尿に出して、むくみをとる作用をもっています。
また、同じく含まれる「麻黄」「杏仁」の組み合わせは腫脹した気管支の腫れをとる作用を持っています。
すなわち、「麻黄」と「石膏」と「杏仁」の成分が発作が重い時のぜん息の気管支の状態を急速に改善してくれるのです。ステロイドの内服に近い効果と言えます。
ポイントは、ステロイドの内服と同様に「短期に使用」して中止するのが良いでしょう。
点滴からステロイドと水分を十分に補充した後に、麻杏甘石湯を開始する治療も有効です。内服で麻杏甘石湯とステロイドを併用しても有効です。

A神秘湯
「麻黄」と「杏仁」が含まれていますのでぜん息の発作で腫脹した気管支の腫れをとる作用をもつ薬です。
「柴胡」が入っていますので、胸のあたりに何らかの症状(胸が痛い、胸が苦しい)である「胸々苦満」と言ったお子さんの自覚症状を改善する作用ももっています。
さらに、「厚朴」「陳皮」「蘇葉」といった成分は、元気がない症状を改善します。「柴胡」にも同じように元気を出す効果があります。
ぜん息の発作が少しおちつかないお子さんで、発作を起こすと精神的に元気がなくなるようなお子さんにとても向いているお薬と言えます。この意味では、心因性咳嗽にも効果が期待できます。
長期に使用しても、短期使用でもどちらにも使えるお子さんのぜん息のお薬です。

B麦門冬湯
咳き込んでしまうような発作性の咳が良く出るお子さんに良いお薬です。お子さんのぜん息で特に乾いた(咳のからまない)咳に良く効きます。
咳き込んでしまう咳とともに嘔吐する状態は、ぜん息の中でも「気のめぐり」が頭にのぼりすぎている「気逆」というものです。
この中に含まれる「麦門湯」「人参」「米更米」「甘草」「大棗」は、気を静めるお薬です。気が静まることで発作性の咳が良くなります。お子さんには、「気逆」のぜん息の方が意外に多くみられて、このお薬が良く効きます。
「半夏」は胸に水がたまった状態をかわかす作用のあるお薬で「吐き気」「嘔吐」「咳」「痰」に効きます。
「半夏」は乾かす作用をもっていますので「のどの渇き」がない時に使えます。舌を見て、乾燥していたら使わないようにしましょう。
麦門冬湯は、継続的に内服しても大丈夫なお子さんのぜん息のとても便利なお薬です。

C清肺湯
ぜん息のお子さんが、気管支炎や肺炎にかかった後に病状が良くなってきたのに、痰のからむ咳がどうしても残ってしまって良くならない時に治すのが「清肺湯」です。痰が多い咳に内服しますと、痰がとれてスッキリ治ります。肺を清めるお薬です。1〜2週間の内服で十分です。

D竹じょ温胆湯
咳が出ていて、イライラしていて安眠の出来ない咳に効果があります。







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