検診とワクチンを活用〜HPV関連疾患の予防〜
社会保険相模野病院 産婦人科腫瘍センター
上坊 敏子先生 講演会より
@子宮頸癌の96%が発癌性HPV関連疾患」です。
AHPVは、約80%の女性は一生に一度は感染します。
BハイリスクのHPVに感染しても自覚症状はありません。
CハイリスクのHPVの1000人に1人が癌になります。
D子宮頸癌の罹患率は20代後半から急上昇していて、
子宮頸癌の発症の若年化が見られます。
E20〜34才では、乳癌より子宮頸癌の罹患率が多い傾向にあります。
F子宮頸癌が進行しますと不正性出血(特に性交後出血)や
悪臭を伴なう「おりもの」や腹部や腰部の痛みや足のむくみや
無尿や漏尿となりますが、初期の子宮頸癌では「無症状」であります。
G子宮頸癌の検診は20代から2年に1回は必要です。
日本での子宮頸癌の健診受診率は24.5%と先進国の中で最も低くなっています。
さらに、日本では早期の子宮頸癌になりやすい20〜24才の子宮頸癌の検診率はとても低くなっています。
日本には子宮頸癌の20才、25才、30才、35才、40才の無料検診クーポンがありますので利用しましょう。
H子宮頸癌ワクチン(ガーダシル)
1)ワクチンの免疫抗体反応はとても良好です。
2)若い女性の子宮頸癌では、HPVの16型と18型の検出率が高いですので、
子宮頸癌ワクチンで予防することが良いでしょう。
3)子宮頸癌のタイプは、腺癌の頻度が上昇しています。
子宮頸癌の腺癌タイプは、早期の細胞診断は難しく、
子宮頸癌の健診での発見率が非常に低く、子宮頸癌の扁平上皮癌タイプに比べて
治療が難しい特徴があります。
4)子宮頸癌の腺癌タイプの85%がHPVの16型と18型で占められていますので
子宮頸癌ワクチンの「ガーダシル」がこれらに対して予防接種が高い特徴を持っています。
5)子宮頸癌ワクチンの「ガーダシル」の接種率が高い集団(18才未満)では個人の発症も抑制しつつあります。
I女性はセクシャルデビューから短期間でHPVに感染します。
日本における女性のセクシャルデビューが早くなっていますので、中学1年生位までに
子宮頸癌の予防接種の終了をすることが望ましいことになります。
J子宮頸癌が公費による定期接種化になりました。
無料で接種できますので、対象のお子さんはワクチン接種して子宮頸癌の予防に努めましょう。
1)子宮頸癌ワクチンは小学校6年生から高校1年生が対象です。
(標準接種は中学1年生となります)
2)HPVに感染しますと、将来重篤化しやすいので子宮頸癌ワクチンが定期接種化されました。
3)子宮頸癌ワクチンが定期接種化したことで子宮頸癌ワクチンで副反応が生じた場合は、
予防接種健康被害救済法により手厚く保護されています。
4)子宮頸癌ワクチンは10代前半過ぎて接種しても接種効果は期待できます。
5)子宮頸癌ワクチンは、セクシャルビュー後でもワクチン効果はあります。
6)HPVの感染の痕跡があっても、まだHPV感染を発症してない女性に子宮頸癌ワクチンの効果は高いのです。
7)高校2年生以上やセクシャルデビュー後も子宮頸癌ワクチンの予防効果は十分にあります。
K子宮頸癌の有害事象
1)接種部位の疼痛、腫脹が多いです。
2)失神をおこすのは10代の女性が多いです。
子宮頸癌ワクチン接種後は15分くらいは院内で安静にしましょう。
接種前の極度の緊張と接種後の安堵感で失神にいたるケースが多いようです。
3)複合性局所疼痛症候群(CRPS)
a) 女性に多く見られます。
b) 小さな外傷が直接の原因のことが多いです。
c) 成人に比べますとお子さんは冬に多く見られます。
d) 治療は早期に理学療法を開始することが大切です。
e) ガーダシルでは、1446000人のうち「1人」
サーバリックスでは、6480000人のうち「1人」の頻度で見られます。
これは100万回から150万回に1回と極めて少なく通常のワクチンと比べてCRPSの
有害事象が子宮頸癌ワクチンで多いわけではありません。
L子宮頸癌ワクチンのガーダシルは女性の尖圭コンジローマの発生率をかなり抑制できます。
M肛門癌はHPVの関与が認められます。
N咽頭癌や口腔癌では、HPVの感染が多いのです。
O海外では、男性のHPVの不顕性感染もみられています。
女性のみだけでなく男性にも子宮頸癌ワクチンを接種することが望ましい事になります。
(海外では子宮頸癌ワクチンを男性に接種している国もあります。
P子宮頸癌の検診と子宮頸癌ワクチンの併用で95%子宮頸癌の予防が期待できます。
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