プライマリケア医における夜尿症の診療
問診、検査から生活指導、薬物療法まで
1.多くの夜尿症のお子さん(78.5%)は医療機関を受診したことがありません。
2.200人の成人の1人の大人に夜尿があります。夜尿症のお子さん全員が大人になったら治るわけではありません。
3.夜尿症の患者さんは50万人とたくさん実際にはいるのですが、そのうちクリニックを受診するのはわずか3万人です。
4.夜尿症のお子さんで両親の生の声として、オネショで病院には、恥ずかしくて行けない。ということがあります。
5.オネショは自然に治るから気にしなくても良いでしょうか?オネショは当分の間は様子をみましょうとか、オネショは病気ではないからと、過去に医療機関で言われているケースが多いのが実情です。
6.夜尿症の原因として次の3つがあります。
1)夜間の多尿
2)オネショをしても目が覚めない、覚醒障害
3)膀胱容量の低下(過活動膀胱)
7.夜尿の診断としては、次の点が大切です。
1)夜尿の頻度
2)昼間の尿失禁(昼間の尿のオモラシ)の有無で尿意切迫感があるかどうか。
3)便通(便秘や遺糞症:昼間にウンチを漏らしてしまうお子さんや、便失禁)があるかどうか
4)睡眠を妨げる要因(例えばイビキ)があるかどうか
5)尿管異所開
女の子に多いのですが尿が膀胱以外の膣や子宮に繋がってるので昼も夜もオネショをするのが特徴です。
6)膀胱尿管逆流現象
8.夜尿は小学校1年生から治療の対象です。夜尿を「もう少し様子を見ましょう。」は禁句です。
9.幼稚園児でも、ひどい昼間の尿失禁が合併している場合には尿管異所開や膀胱尿意逆流現象などがあることがありますので、専門医の検査が必要になります。
10.夜尿症の内服治療をしても症状の改善がみられない時も尿管胃異所開や膀胱尿道逆流現象などがある場合がありますので、やはり専門医のが検査必要になります。
11.夕食終了時から就寝まで3時間の間隔があれば摂取した水分の約80%が就寝前の排尿で排出されます。就寝前の3時間は水分摂取は控えましょう。夕食は早めにしましょう。
12.塩分は控えめにしましょう。塩分をとりますと喉が渇いて水分を多くとってしまうからです。
13.昼食の後から水分(ジュース・お茶・牛乳)を控えめにして、夕食時から就寝まではコップ1杯程度の水分摂取にとどめましょう。
14.夕食は腹八分目と減らしましょう。朝食をしっかり食べた方が夜尿には良いのです。
15.日本茶はカフェインが多く含んでいるので注意が必要です。麦茶の方がカフェインがなくて夜尿には良いです。
16.夕食を減らして朝食を多く食べた方が夜尿にも成長(身長)にも良いでしょう。
17.朝食と夕食の食べる量を逆にしてみるのも良いでしょう。朝食を多く、夕食を少なくです。例えば夕食にお子さんの嫌いなメニューを出しますと、自然に夕食の食べる量が減ります。
18.夜尿症は夜間の尿生産量と膀胱容量のバランスが取れていないことで起きています。
19.夜尿症の原因の70%は抗利尿ホルモンの夜間分泌不足があります。ミニリンメルトOD錠は内服の抗利尿ホルモン剤です。
20.夜尿多尿のお子さんには、夜尿症の内服薬(ミニリンメルトOD錠)が効果があります。
21.夜尿症のお薬であるデスモプレッシンの点鼻薬は、花粉症が」ひどいと効果が下がります。
22.ミニリンメルトOD錠の使用の際しては、就寝2〜3時間前から翌朝までの水分摂取量を「コップ1杯200mlくらい」に制限しておくことが必要です。
23.ミニリンメルトOD錠は水中毒の副作用が少ないお薬です。
24.ミニリンメルトOD錠開始後は1ヶ月目より2ヶ月の方が夜尿症が改善するお子さんが多い傾向にあります。
25.ミニリンメルトOD錠は、胃腸炎などがある時には内服せずに一時的に内服をやめることも大切です。
26.夜尿症が改善して3ヶ月程度の安定をみましたら休薬期間を設けて、治療してない状態での夜尿のチェックをしてみるのも良いでしょう。
27.夜尿症の治療は小学校1年生から開始しましょう。生活指導と夜間の飲水制限と膀胱訓練(ちょっとおしっこを我慢する)が必要でしょう。
28.就寝前には必ずトイレに行きましょう。
29.お子さんを夜間に起こしますと尿量が増加(する場合がございますので夜間に無理におしっこで起こすことは止めましょう。
30.夜更かしや、不規則な生活は多尿を悪化させますので早寝早起き決まった時間の食事を心がけましょう。
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