アトピー性皮膚炎における個別化治療
ヘルシンギ大学皮膚科 Sakari Reitamo先生講演会
1.アトピー性皮膚炎は緯度の高い地域に多くみられる傾向があります。
2.アトピー性皮膚炎の多くは子どもの時に改善するがその後成人してから再発することがあります。
3.アトピー性皮膚炎の50%くらいは「ぜん息」をもっています。
4.子どもの時の皮膚炎の治療がきちんとなされていないと、成人してからアトピー性皮膚炎が重症化します。
5.フィラグリン遺伝子の異常のあるアトピー性皮膚炎では「ぜん息」の症状も出てきます。
皮膚から抗原(アレルゲン)が体の入り込み、その結果血中のIgE抗体(アレルギーの素因を示す物質)が上昇してそれが肺にいって「ぜん息」を起こしてくるのです。
6.プロトピックの維持療法
小児のアトピー性皮膚炎に対して、プロトピック軟膏
@皮膚炎が増悪した時には1日2回塗ります。
A皮膚炎が落ち着いた後に、増悪した時のみだけプロトピック軟膏を塗るのは経過は良くありません。
B皮膚炎が落ち着いた後に1週間に2回くらいプロトピック軟膏を塗る「維持療法」は経過はとてもよいです。
7.プロトピック軟膏は使用していて皮膚の厚さを薄くすることはありません。
8.プロトピック軟膏は皮膚のブドウ球菌を早い段階で減少する作用があります。これは皮膚のバリア機能が改善することで間接的にブドウ球菌がいなくなるのです。
9.プロトピック軟膏は長期使用において皮膚の感染症が増えることはなく、むしろ少なくなっています。
10.プロトピック軟膏の使用によって皮膚ガンの発生率が上昇することはありません。
11.プロトピック軟膏の使用によりリンパ腫の発生率が上昇することはありません。
12.ただしアトピー性皮膚炎そのものがリンパ腫の発生率を上昇しますが、プロトピック軟膏の使用によりリンパ腫の発生率のリスクが上昇することはありません。
13.10年間の成人のプロトピック軟膏の長期使用では
気道過敏症・ぜん息の症状・鼻炎の症状の改善がみられています。
皮膚を治すことで気道(気管・鼻)を治すことが出来るのです。
14.小児の早期のアトピー性皮膚炎の治療が大切になります。
15.3〜24ヶ月のアトピー性皮膚炎のお子さんではプロトピック軟膏の使用を開始しても血中のプロトピックの濃度が上昇することはありません。
すなわち長期的な安全性も保たれています。
16.プロトピック軟膏は眼内圧の正常化をする効果があります。
17.プロトピック軟膏の使用がたくさん必要なのは治療開始初期だけです。
アトピー性皮膚炎の皮疹がよくなりますと、プロトピック軟膏の使用量は自然に減っていきます。
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