食物アレルギーによるアナフィラキシーへの対応


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ひやりはっと事例からのメッセージ
藤田保健衛生大学 宇理須厚雄先生講演会


1.食物アレルギーによるアナフィラキシーは

@保育園で5%くらいのアナフラキシーがあります。
A小学生で2.9%くらいのアナフィラキシーがあります。
B学童の食物アレルギーは2.6%でアナフィラキシーは0.14%くらいあります。
C誤食(本来は食物制限のある食物を間違って食べてしまう場合)は保育園で29%発生しています。

2.食物依存性運動誘発アナフィラキシー

@エビやカニが原因アレルゲンのことが多いです。
A原因食物を食べた後に3〜4時間くらい経過して運動をしますと起こすアナフィラキシーです。
(原因食物を食べただけではアナフィラキシーは起こりません。)
B茶のしずく石けんによる小麦アレルギー
女性が95.6%で男性は4.4%で全国で1540名の患者さんがいます。

3.食物アレルギーの対応は

@原因食物の除去

A食物アレルギーの過敏症(アナフィラキシー)に対する緊急対処として
A)皮膚のかゆみや蕁麻疹・口の中のかゆみには抗ヒスタミン剤の内服が必要です。
B)強い蕁麻疹や1回の嘔吐や1回の下痢・間欠的腹痛には抗ヒスタミン剤の内服やステロイドの内服が必要です。
C)全身のかゆみや全身の発赤・全身性蕁麻疹・反復する嘔吐や声がれ・咳き込みにはアナフィラキシーと考えてエピペンが必要です。
D)アナフィラキシーの時には児を横に寝かせて下肢を拳上するように足を高くして寝かせてあげるとよいでしょう。

4.食物アレルギーの急性症状に対する緊急時薬として

A)抗ヒスタミン剤
  速効性があり抗ヒスタミン作用が強く鎮静作用の弱いものが適しています。
B)内服ステロイド剤
  セレスタミンは使用しないようにしましょう。
  なぜならセレスタミンにはステロイドの量が少なく、鎮静作用のある抗ヒスタミン剤が入っているのでアナフィラキシーには適していません。
C)エピペン

5.エピペン

@保険適応になっています。

Aお子さんが自分で注射できない時は、代わりに幼稚園や学校の職員の方が注射しても良いことになっています。
(この場合に注射をした職員の方が法律に抵触することはありません。)
救急救命士の方がお子さんに携帯しているエピペンをお子さんの代わりに注射してもよいことになっています。

Bエピペンが必要な対象者は次の方です。
A)アナフィラキシーの既往のあるお子さん

B)アナフィラキシーのリスクの高いお子さん
(例えば経口免疫療法を受けている食物アレルギーのお子さん)

6.祖父母宅

食品表示をチェックしてからお子さんの食物を食べさせることが重要です。
食品表示にお子さんのアレルギーを起こす食物が含まれていないかのチェックが必要です。

7.レストラン
普通のレストランはアレルギーの原因物質が混入する可能性が高いので避けましょう。

8.自動販売装置
飲み物がノズルから出る共通のタイプの自動販売機は使わないようにしましょう。
例えばジュースもカルピスも同じノズルから出るタイプですと、カルピスの牛乳成分がジュースが出る時に混入する可能性があります。

9.菓子パン
菓子パンは卵の成分の含有量が大きく違うことがありますので、注意が必要です。
例えばメロンパンにはたくさんの卵が入っています。普通の菓子パンを食べても大丈夫な卵アレルギーのお子さんがメロンパンを食べますと
卵の含有量が多いので卵アレルギーの症状が出ることがありますので、メロンパンは注意しましょう。

10.幼稚園・学校・施設

@園や学校の職員がお子さんの食物アレルギーの情報を共有することが大切です。
例えばお子さんのクラスの担任の先生だけが食物アレルギーのことを知っていても、他のクラスの担任の先生も食物アレルギーの情報を知っていませんと、誤食が起こります。
牛乳アレルギーのお子さんが園のパーティーでお子さんの担任ではない先生にカルピスを与えられてアナフィラキシーを起こすこともあるのです。

A給食の配膳は除去食の方から配膳しますと誤食が防げます。

B食事中と食後に食物アレルギーのお子さんの経過を観察することを怠らないように先生が注意をはらいましょう。

C雑巾を触ったら牛乳アレルギーのお子さんの眼が腫れたこともあります。
これは担任の先生がこぼした牛乳を雑巾で拭きとりよく洗っておきましたが、この雑巾を触ったら牛乳アレルギーの症状が出たのです。
おそらく雑巾に少しだけ牛乳が残っていたのでしょう。

Dピーナッツの豆まきや蕎麦打ち体験やうどん作り体験やうどん作り体験・牛乳パック回収などの行事にも食物アレルギーのお子さんは注意が必要です。



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