アトピー性皮膚炎の標準治療におけるプロトピック軟膏の意義
京都府立医科大学 加藤 則人先生講演会
1.アトピー性皮膚炎では、皮膚の角質(アカ)が剥がれやすくなっています。
2.アレルギー性疾患のない皮膚の疾患のみの児童を6年間フォローしてみますと
@ 7.7%がアトピー性皮膚炎を発症してきます。
A38.5%がアレルギー性鼻炎を発症してきます。
3.触ってザラザラしている皮膚の場所には、ステロイドの塗り薬を塗りましょう。
4.2才未満ですと、顔に10g・体に90gのステロイドの塗り薬を塗りましても、皮膚の委縮や血管拡張はおきません。
5.ステロイドの塗り薬によって症状が良くなってきますと、その後の色素沈着症として皮膚が黒くなることは心配はありません。
6.アトピー性皮膚炎では痒いからかくので、かくことを受け入れてあげることが大切です。
「かいていてはダメ。」と言うのは良くありません。
「痒いからかく人だよね。」「痒いのを良くするためにお薬を塗ろうね。」と言ってあげることが重要なのです。
7.アトピー性皮膚炎でステロイドの塗り薬で皮疹が良くなっても痒みが強い患者さんにプロトピック軟膏を使用しますと痒みが改善します。
8.プロトピック軟膏は使用開始しますと、初めに痒みが良くなってから、その後に皮疹は良くなっていきます。
9.ステロイドの塗り薬で、一見皮疹が良くなっているように見えても、痒みが十分に治まっていないと、掻破で容易に再燃するケースのアトピー性皮膚炎に、プロトピック軟膏が良く効きます。
10.プロトピック軟膏は顔のみならず、全身どこの部位の皮膚に使用しても良いのです。
11.プロトピック軟膏は痒みの原因になる物質の量を減らす作用があり、これにより痒みが改善します。
12.目の周囲のアトピー性皮膚炎に塗るのは、1ヶ月のうち10日程度のステロイドの塗り薬の使用ならば、目の眼圧は上りません。
13.目の周囲のアトピー性皮膚炎にステロイドの塗り薬を塗って、皮膚が良くなりましたら、プロトピック軟膏の塗り薬に変更しますと、目の眼圧が上がる心配はありません。
14.ステロイドの塗り薬の副作用の出やすい部位に、プロトピック軟膏を使用すると良いでしょう。
例えば
@顔・首
顔に塗った時の刺激感が強い時は首からプロトピック軟膏を塗ると良いでしょう。
A肘の内側・膝の裏側
B下腿
C臀部(おしり)
D手拳
などの部位です。
15.プロトピック軟膏の1回の使用量の上限は次の通りです。
@2〜5才:1g
(20s未満)
A6〜12才:2〜4g
(20〜50s未満)
B13才:5g
(50s未満)
プロトピック軟膏はチューブから出した時の長さが5pのものがプロトピック軟膏として0.5gに相当します。
塗る量をしっかりと使いましょう。
16.皮膚がツルツル状態になるまで、毎日ステロイドの塗り薬を塗るか、プロトピック軟膏を塗り続けて痒みが完全になくなるように塗ることが大切です。
この状態になってはじめて保湿剤に切り替えると良いのです。
もしこのプロセスで一か月以内に皮疹が再燃を繰り返す時には、皮膚がツルツルなったらプロトピック軟膏に変更して継続すると良いでしょう。
17.プロトピック軟膏はお薬が効いてくると塗った時のピリピリ感が消失します。
プロトピック軟膏を塗って刺激感が出るということは、痒みのもとが消えたことを意味していますので、皮膚が改善している証です。
18.プロトピック軟膏を適正に使用していますと、リンパ腫の心配はいりません。
19.プロトピック軟膏を塗った時の日光の影響を心配される場合は、朝塗らずに夜塗れば大丈夫です。
プロトピック軟膏は日常生活の範囲では使用されていても日光の影響は心配ありません。
20.ステロイドの塗り薬を塗って、皮疹も痒みも良くなっている人はステロイドの塗り薬だけで十分です。
21.ステロイドの塗り薬を塗って皮疹は改善するが、痒みが良くならないケースはプロトピック軟膏を使用すると良いでしょう。
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