小児のアレルギー性鼻炎


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小児のアレルギー性鼻炎

One Airway,One Diseaseの観点から

国立三重病院 増田 佐和子先生講演会より

1.幼児から10才にかけてのアレルギー性鼻炎が増えています。

2.アレルギー性鼻炎の抗体は
 
@ダニは0〜3才に増加しています。

Aスギは2〜5才に増加しています。

Bダニとスギは4才以上で両方のアレルギーが増加しています。

3.ぜん息の80%はアレルギー鼻炎を合併しています。

4.アレルギー性鼻炎の30〜40%は、ぜん息を合併しています。

5.小児期発症のアレルギー性鼻炎は、成人期のぜん息発症のリスクを高くします。
  例えば7才までにアレルギー性鼻炎がありますと、43才でのぜん息の発症が高くなります。
子どものアレルギー性鼻炎は成人になったときに、ぜん息になる確率があることに注意が必要です。

6.2〜10才のぜん息のお子さんの約80%がアレルギー性鼻炎を合併しています。
  この中にはお母さんが気がついていない無症候性のアレルギー性鼻炎があります。

7.アレルギー性鼻炎合併のぜん息のお子さんの1/3が鼻症状が先行に発症しています。

8.アレルギー性鼻炎は2才くらいまでに発症します。

9.アレルギー性鼻炎合併のぜん息ではアレルギー性鼻炎の症状が悪化するとぜん息の症状も悪化します。

10.お子さんのアレルギー性鼻炎は増加していまして、その背景にはアレルギー性鼻炎の発症の低年齢化があります。

11.子どものアレルギー性鼻炎で困るのは

@鼻閉→口呼吸が常態化します。

A鼻汁→鼻をかまずにすすってしまいます。(自覚症状を感じにくい傾向にあります。)

Bお子さんが目や鼻をこするのがお母さんは困ります。

Cお子さん自身が目や鼻をこすってしまうのを困っています。

D外遊びやスポーツをすることができません。

E夜間よく眠れません。

Fお子さんにアレルギー性鼻炎がありますと、お母さんはよりストレスを感じてしまいます。

Gアレルギー性鼻炎は「いびき」の危険因子にもなります。
 お子さんの「いびき」の危険因子は、
 1位 アデノイド
 2位 扁桃肥大
 3位 アレルギー性鼻炎なのです。

Hお子さんのアレルギー性鼻炎を治療しますと、お子さんの睡眠の質が改善します。

Iくしゃみ・鼻汁・鼻閉以外にアトピー性皮膚炎などの皮膚の症状も多くみられます。

12.症状として注意することは

@朝起きた時に「くしゃみ」がありませんか?

Aお口を空けて過ごしてませんか?

Bアレルギー性鼻炎に加えて副鼻腔炎も合併している時には、両方の病気の治療が必要です。

C片側だけの膿性鼻漏は「鼻異物」のことがあり、見過ごされることがありますので注意しましょう。

D夜間の呼吸困難と「いびき」の場合は、アデノイドによる睡眠時無呼吸症候群がありますので、この場合には手術が必要です。

13.お子さんのアレルギー性鼻炎の点鼻ステロイド薬は症状が出た時だけに使うのではなく、継続して使用して炎症をしっかりと抑えることが大切です。

14.中等症以上のぜん息で、アレルギー性鼻炎もあるお子さんに

@キプレスの単独内服例では、鼻と咳の症状がよくなります。

A吸入ステロイド薬単独使用例では、咳は良くなりますが鼻は良くなりません。

B吸入ステロイド薬単独使用例では、アレルギー性鼻炎の改善にはなりませんが、キプレスの単独内服ですと、アレルギー性鼻炎もぜん息にも改善がみられます。

15.お子さんのアレルギー性鼻炎は症状の自覚や訴えが乏しいのが特徴です。

16.早期にお子さんのアレルギー性鼻炎の治療を開始しますと、鼻炎の増悪やその後のぜん息の重症化も防ぐことが出来るかもしれません。



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