ロタウイルス感染症と胃腸炎予防
ロタウイルス感染症と胃腸炎予防
5価ロタウイルスワクチン(ロタテック)を中心に
日本赤十字医療センター 園部 友良先生講演会より
1.5才までにほぼ全ての乳幼児がロタウイルス感染症にかかります。
2.ロタウイルスは糞口感染(便についたウイルスを触り口から入るパターン)が主です。
3.ロタウイルスはテーブルやおもちゃに付着すると、そのところで長く生存することができるので、触ったお子さんが口から感染します。
4.ロタウイルスは冬から春にかけて流行します。
5.ロタウイルスの胃腸炎は乳幼児に多くみられます。
6.ロタウイルス胃腸炎はノロウイルスやアデノウイルスによる胃腸炎よりも重症化します。
7.ロタウイルス感染症は重篤な合併症(脳炎や脳症などの痙攣を起こす病気や腎不全・突然死など)が多くみられます。
8.後遺症の残る確率はインフルエンザ脳症よりロタウイルス脳症の方が高くなります。
9.多くの小児はロタウイルス感染症を繰り返すたびに、免疫機能が高くなりそのために重症化しなくなります。
10.ロタウイルス感染の初回目と2回目ではロタウイルスの種類が異なっていることが多いです。
11.5価のロタウイルスワクチン(ロタテック)
@ロタウイルスの流行する型は、年や地域によって異なります。
A感染を繰り返すことでロタウイルス胃腸炎に対する予防効果が高くなります。
B単独のロタウイルス株ではなく、5種類のロタウイルス株を含めた「ロタテック」の方が、自然感染を模倣することになり結果として免疫力を高めることになります。
C重症のロタウイルス胃腸炎を98%減少させる効果があります。
D3.1年経過してもロタウイルスワクチンの免疫力はしっかりと残っています。予防接種の効果は時間がたっても低下していません。
Eアメリカでは「ロタテック」導入後、0〜4才の集団だけではなく5才以上〜65才〜以上の人にもロタウイルス感染症の発症予防効果がありました。
すなわち集団免疫効果がとても効果があったということになります。
F3回接種のワクチンです。
G「生後6週間」から接種可能で最終は「生後32週」まで接種できます。
H早産児においても同様に接種することができます。
I接種後に嘔吐しても再投与の必要はありません。
J「ロタテック」では腸重積の発症率は接種していないお子さんと比べて全くかわりはありません。
K1価「ロタリックス」に比べて5価「ロタテック」はロタウイルスの便中排泄期間が1〜2週間と短い特徴があります。
L「ロタテック」のデビューは生後2ヶ月後からヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンと同時接種してデビューするのが良いでしょう。
M「ロタテック」はロタウイルスの株の種類が多くなることで、多種類のロタウイルスに効果があります。
12.オーストラリアでは生後1〜9ヶ月未満の乳児におけるロタワクチン接種後の腸重積発症の増加はありません。
ただし10万人あたり約2人の腸重積の発症がありますが、ロタウイルスワクチンの恩恵と利点の方が発症のリスクよりはるかに高いでしょう。
13.ロタワクチン接種を通じてお母さんが腸重積のことを理解していただければ、自然発生の腸重積の早期発見に役立ち、腸重積症でおこる死亡と手術例の減少につながることの方が大切です。
14.同時接種の安全性
@同時接種後にもし免疫力が落ちるのであれば、重症感染症が増えるはずですが実際には増えていません。
A長い間、世界中で同時接種をしていて何の問題が起こっていないのが、最大の安全の根拠となります。
B同時接種によって増加する有害事象は極めて軽微で、ワクチン接種を中止することはなっていません。
C定期接種と任意接種の同時接種なら有害事象が起きた時には、定期接種の良い方の補償が適応されます。
D単独接種では免疫の獲得が遅くなりますので、大切なお子さんを病気から守れなくなってしまいます。
単独接種ですと計17回最大7ヶ月も期間を要してしまいます。
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