アレルギー性鼻炎とぜん息
小児科領域におけるOne airway one disease の捉え方
群馬大学 荒川浩一先生 講演会より
@小児の「ぜん息」の75%がアレルギー性鼻炎を合併しています。
A小児の「アレルギー性鼻炎」の57%が「ぜん息」を合併しています。
B小児のアレルギー性鼻炎の症状としては「鼻汁」「鼻閉」「くしゃみ」が風邪以外でみられることが多い傾向にあります。
C小児期にアレルギー性鼻炎がありますと、そのお子さんが43才になった時の「ぜん息」の発症率が高くなります。
D1才前のアレルギー性鼻炎の発症率は8.9%です。
E小児のアレルギー性鼻炎は
1)アレルギー性鼻炎が先におきて、その後に「ぜん息」がおこるタイプ
2)「ぜん息」が先におきて、その後にアレルギー性鼻炎がおこるタイプ
3)アレルギー性鼻炎と「ぜん息」が同時におこるタイプ
の3つがあり、頻度としては1→2→3の順に多い傾向があります。
F1才の喘鳴(ぜいぜい)のリスクファクターは
1)お母さんにアトピー性皮膚炎があります。
2)出生時の体重が少し小さいことがあります。
3)帝王切開で生まれたお子さんであることがあります。
G6才の「ぜん息」の発症因子は
1)父親がアレルギー性鼻炎がありますと「ぜん息」発症は少なくなります。
2)帝王切開で生まれたお子さんです。
3)1才の時にアトピー性皮膚炎があります。
4)3才の時にアトピー性皮膚炎や「ぜん息」があります。
5)上気道感染(かぜ)を反復して繰り返しています。
H3才のアレルギー性鼻炎のお子さんが「ぜん息」を合併する率は30%です。
I3才ではアレルギー性鼻炎より「ぜん息」が多くなります。
J6才ではアレルギー性鼻炎が「ぜん息」より多くなります。
Kアレルギー性鼻炎の発症因子としては
1)3才のお子さんでは
A)お母さんのアレルギー性鼻炎があります。
B)1才の時のアトピー性皮膚炎があります。
C)出生時にペットを飼っていることがあります。
D)兄弟がいることがあります。
2)6才のお子さんでは
A)母乳栄養があります。
B)3才の時にアレルギー性鼻炎があります。
Lお子さんでは「ぜん息」の合併のない人に、軽症のアレルギー性鼻炎が多くみられます。
Mお子さんでは「ぜん息」の合併のある人に重症のアレルギー性鼻炎が多くみられます。
N吸入ステロイドのアドエアーは
1)アレルギー性鼻炎のあるお子さんの「ぜん息」は「ぜん息」も調子が良くないのでアドエアーの使用頻度が多くなります。
2)アレルギー性鼻炎のないお子さんの「ぜん息」は「ぜん息」は調子が良いので、アドエアーの使用頻度も少なくなります。
Oアレルギー性鼻炎合併の重症の「ぜん息」のお子さんでは、上気道(鼻)と下気道(肺)の両方に効果がある抗ロイコトリエン拮抗薬(オノン)でコントロールを良くすることが必要です。
Pアレルギー性鼻炎の症状がひどい時には、抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン拮抗薬の併用が効果があります。
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