小児アトピー性皮膚炎患者のQOLを考える


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国立病院機構三重病院 藤澤隆夫先生講演会より


1.アトピー性皮膚炎はQOL(生活の質のレベル)を著しく低下させる特徴があります。
  
 @強いかゆみは
  不眠・落ち着きがない・いらいらする・集中出来ないなどの症状を起こしてきます。

 A外見上の問題で
  外見が気になり外出ができなくなります。
  いじめにあったりします。

 B合併症として
  発育不良をおこしてきます。

2.乳幼児期のアトピー性皮膚炎のQOL

 @乳幼児期ではお子さんを育てている養育者(例えばお母さん)のQOLを評価することが大切です。

 Aお子さんのアトピー性皮膚炎があることで、お母さんが疲労感を感じたり、夜眠れないなどのお母さんのQOLが下がってしまうことがあります。

 B例えばかゆみを抑える「アレジオン」という抗ヒスタミン剤をお子さんが内服し始めますと、かゆみが減ります。
   かゆみが減ってお子さんの皮膚の症状が改善しますと、お母さんのQOLが良くなります。

 Cお子さんのアトピー性皮膚炎を治していく上でお母さん以外の家族の人が、お母さんに協力してくれているとお母さんが感じることが重要です。
 そのような環境になりますとお母さんのQOLが改善してくるのです。
 お母さんが一人で頑張ってお子さんのアトピー性皮膚炎を治すのは良くないのです。家族の協力が必要です。

 Dお母さんのQOLが低いと、母子関係がうまくいきません。
 お母さんのQOLが良いことが乳幼児のアトピー性皮膚炎を治す上で大切なことなのです。

 EQOLの高いお母さんはQOLの低いお母さんに比べて喜びを一層感じる傾向にあります。

3.学童期のアトピー性皮膚炎のQOL

 @アトピー性皮膚炎のお肌のせいで、学校や水泳を休んだりしないかが大切です。

 Aかゆみ止める抗ヒスタミン薬「ザイザル」を内服しますと投与開始後2〜4週間でかゆみの改善がみられ、日中と夜間のかゆみが改善します。
   アトピー性皮膚炎が原因で学校や水泳を休むという日常生活のQOLは内服開始後2週間という早い時期から改善がみられます。

 Bねむけの副作用は学童期の「ザイザル」を使用したお子さんでは一例もみられませんでした。

 C「ザイザル」は7歳以上15歳未満のアトピー性皮膚炎のお子さんで、すでにステロイドの塗り薬を使用している例で、1回2.5rを1日2回服用で効果があります。
 
4.お子さんの保護者が「親がアレルギー体質だから子どもさんがアレルギーなのは仕方ない」とあきらめてしまうことが、学童期のアトピー性皮膚炎でみられていて、これがお子さんのQOLを低下させています。

5.アトピー性皮膚炎が悪化した時だけステロイドを塗るというのはお子さんのQOLを低下させます。

6.お子さん自身がステロイドの塗り薬を面倒くさいと思ってしまうのも、お子さんのQOLを低下させます。



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