アトピー性皮膚炎 治療のエンドポイント
国立三重病院 藤澤隆夫先生講演会より
@アトピー性皮膚炎は生活の質を著しく低下させてしまいます。
1)強いかゆみは
不眠をおこします。
落ち着きがなくなります。
勉強に集中できないお子さんになります。
2)外見上の問題が
外見が気になって外出が出来ないことがあります。
友達からいじめられることがあります。
A生後4ヶ月(乳児期)発症のアトピー性皮膚炎と3才以降発症のアトピー性皮膚炎は異なります。
Bアトピー性皮膚炎の重症度と血液検査のTARC値は相関があります。
1)重症のアトピー性皮膚炎ではTARC値が高くなります。
2)アトピー性皮膚炎を治療する前と治療した後で比較しますと、治療前に高かったTARC値は治療後には下がっていますので治療の効果として良い指標となります。
C赤ちゃんのアトピー性皮膚炎で血液検査をしてみますと、食物アレルギーを示すお子さんが多くみられますが、実際には食物アレルギーの症状は出ていないお子さんがほとんどです。
D1歳未満の小児の重症のアトピー性皮膚炎では栄養状態が良くなくて低アルブミン血症を起こしやすいのですが、このような赤ちゃんに皮膚をきちんと治すだけで低アルブミン血症が改善して栄養状態が良くなります。
E小児のアトピー性皮膚炎では誤った民間治療やアトピービジネスが最も危険です。正しい治療が重要です。
Fアトピー性皮膚炎では皮膚は必ず良くなりますので少し良くなったからといって途中で塗るのを止めてしまうのはリバウンド(アトピー性皮膚炎の再燃)の大きな原因になります。
Gアトピー性皮膚炎の火事が大きな時には消防車並みのステロイドの塗り薬を使い、小さなたき火くらいの時にはバケツの水くらいのステロイドの塗り薬とを使うと良いのです。
Hプロトピック軟膏を使った時のピリピリとした刺激感を減らせる対策としては
1)プロトピック軟膏を塗る皮膚の部分に前もって十分の保湿剤を塗って、その上からプロトピック軟膏を塗ると良いです。
2)プロトピック軟膏を塗る皮膚の部分にステロイドの塗り薬で、しっかりと治療をして皮膚がきれいな状態になってからプロトピック軟膏を塗ると良いです。
I非ステロイド系抗炎症薬(塗り薬)は
1)抗炎症作用は極めて弱く塗りますと接触性皮膚炎(カブし)を起こりやすい傾向があります。
2)非ステロイド系抗炎症薬は、アトピー性皮膚炎の標準治療ではなく、間違った治療になります。お母さんが非ステロイド系抗炎症薬の方がアトピー性皮膚炎に良いというのは誤解です。
J休憩時間は出来るだけ日陰で過ごし、必要ならば日焼け止めを塗ってお肌を守りましょう。
K汗はアトピー性皮膚炎の悪化因子ですので汗をかいたらシャワーで流しましょう。
Lアトピー性皮膚炎があっても普通の生活をすることが治療の目標です。副作用のない治療で快適な生活、かゆみでつらい生活をしない学校生活を普通に出来ることが目標なのです。
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