小児細菌性髄膜炎 予防ワクチン


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その効果と導入後の課題

千葉大学 石和田 稔彦先生講演会


1.Hib(ヒブ)

@髄膜炎も起こしますが、急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)も起こします。
急性喉頭蓋炎になりますと、呼吸困難や吸気性のゼイゼイを起こし重症化します。

A薬剤耐性菌(お薬が効かない菌)が増えているのが問題です。

B基礎疾患がない健康なお子さんでも感染してしまいます。

2.Hib(ヒブ)ワクチン

@小児期のワクチン接種によりHibの感染症は減っています。
AHibの髄膜炎のお子さんは、Hibワクチン未接種例に圧倒的に多くみられます。
BHibワクチン導入後、肺炎球菌が髄膜炎の原因として浮上してきました。
CHibの保菌者を減らすことが出来ます。

3.肺炎球菌

@Hibの感染症に比べて後遺症を残すことが多い特徴があります。
A肺炎球菌ワクチン未接種者のお子さんが肺炎球菌の髄膜炎になることが多いです。
B肺炎球菌ワクチンは、髄膜炎だけではなく普通の中耳炎や再発性中耳炎を減らすことが出来ます。
C肺炎球菌ワクチンは耐性肺炎球菌(お薬の効かない肺炎球菌)を減らす効果があります。
D肺炎球菌ワクチン接種による発熱は免疫獲得のための反応と考えるとよいでしょう。
E肺炎球菌を保菌していますと、肺炎球菌の感染症にかかるリスクが高くなります。
保菌者のお子さんは、保菌者になって1ヶ月程度の短期間で肺炎球菌の感染症を発症してきます。
F肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌の保菌を減らせることが出来ます。
Gお子さんに肺炎球菌ワクチンを接種しますと、お子さんと同居している老人の方の肺炎球菌の感染も予防することが出来ます。
(つまり集団免疫効果があるのです。)

4.Hibも肺炎球菌もどちらもワクチンは、乳児期早期に開始して追加の接種もきちんと受けて、免疫を上昇させることが重要です。

5.Hibの髄膜炎にかかったお子さんは、むしろHibワクチンを接種した方が良いと考えられます。
何故ならHibの髄膜炎のお子さんはHibの髄膜炎になっても、その後のHibの抗体価が上昇しないことが多いためです。



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