〜実臨床に即した小児軽症ぜん息のマネジメント〜
東京慈恵会医大 勝沼俊雄先生講演会より
何故、軽症ぜん息を考えるのでしょうか。
@小児のぜん息の75%が軽症のぜん息です。
Aほぼ連日ぜん息の症状があっても、90%のぜん息のお子さんは、調子が良いと評価しています。つまり過少評価になっているのです。
B20歳未満では、軽症のぜん息であっても、その死亡率は重症のぜん息と、あまり変わりはありません。
C軽症のぜん息患者さんの重症の増悪発生率は、成人では0.77/人/年であり軽症のぜん息といっても重症化するので注意が必要です。
Dお子さんの軽症のぜん息の、およそ4割は成人になってもゼイゼイとぜん息のは発作をおこしてきます。
Eぜん息の症状が出てから2年以内にステロイドの吸入薬を開始した方が発作から2年以降にステロイドの吸入薬を開始したグループより呼吸機能の改善が良い傾向にあります。
F2歳過ぎから、お子さんのぜん息では気道の壁が厚くなってくるリモデリングという状態が始まります。リモデリングがおきてきますと空気の通り道である気道が狭くなりますので、ぜん息の悪化の原因になります。
G咳やゼイゼイや呼吸困難などの症状が出て不安定な時には、現在のぜん息の治療薬に追加のお薬を加えなければいけません。例えば吸入ステロイド薬を使用しているお子さんならホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)の追加治療をすると、ぜん息の症状は改善します。
H隠れ軽症のぜん息が多く潜んでいる可能性が十分にあります。
Iホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)は追加治療として一時的に使用するのは良いのですが、このテープを長期にわたって使用するのは、喘息死を高める可能性がありますので適切ではありません。
Jホクナリンテープのジェネリックのツロブテロールテープを使用していて、ぜん息の症状の改善が不十分な時は先発品のホクナリンテープに変更するとぜん息の症状が良くなります。
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