アナフィラキシーの対応


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国立病院機構 相模原病院 海老澤元宏先生講演会より


1.食物アレルギーのでおこるアナフィラキシーの原因として日本では

@お子さんでは「卵」「牛乳」「小麦」が多くみられます。

A大人では「魚」「ソバ」「小麦」が多くみられます。

B食物アレルギーのアナフィラキシーの症状としては、皮ふに重症の蕁麻疹が多発したり、顔や瞼が腫れてむくんだり、ぜん息発作をおこして呼吸困難となったりします。

2.食物アレルギーのアナフィラキシーショックによるお子さんの死亡例


@日本では「エビ」「ソバ」「魚」「チョコレート」によるものがあります。

Aアメリカでは「ピーナッツ」「木の実」によるものがあります。

B英国では「ピーナッツ」「ナッツ」「牛乳」によるものがあります。

3.ソバアレルギーのあるお子さんにはソバがらの枕はすすめられません。
ぜん息発作を起こす可能性があります。

4.日本のお子さんのアナフィラキシーは0.14%の頻度でみられます。

5.アナフィラキシーの最も多い原因は食物です。

原因順として
    @食物
    A薬剤
    B虫刺
    C特発性
    D運動誘発

6.虫刺によるアナフィラキシーは「蜂」のアナフィラキシーです。

7.薬剤によるアナフィラキシー

    @アスピリン
    A非ステロイド系鎮痛剤
    B造影剤
    C輸血

8.接触によるアナフィラキシー

@ラッテクスの手袋やコンドームのラッテクスアレルギーがあります。

A日本では小麦の入った石けんで顔を洗った後に、アナフィラキシーをおこしたケースが増えています。
 (特に女性が多いです。)

9.運動誘発性アナフィラキシー

@小麦やセロリ・ピーナッツを食べて運動をした後にアナフィラキシーがおこるものです。
(食物を食べただけではアナフィラキシーをおこさず、運動をした後にアナフィラキシーがおこるものです。)

Aぜん息の合併が多くみられます。

B咽頭や喉頭がむくんでしまうために、呼吸困難となります。

C日本では「小麦」によるものが多いです。

D10才〜20才の若い年齢で運動量の活発な年齢に多くみられます。

10.日本のアナフィラキシーの「死亡」のお子さんは「蜂」が1位で「食物」が2位の原因としてみられています。

11.アナフィラキシーはエピペンの注射で救急することが最も大切です。

12.エピペンはアナフィラキシー症状の早期に使用することがとても大切で、アナフィラキシーが重症化して、意識がなくなったり血圧が下がったりしてから使用するのは遅いのです。
このことはアナフィラキシーのお子さんとその家族だけではなく、医師にもその認識が必要です。

13.日本のお子さん(4才)でチョコレートのアナフィラキシーをおこして病院に運ばれてケースでは、エピペン(エピネフリン)の投与は症状が発症してから「35分」も経過していました。
エピペンはアナフィラキシー症状の早期に使用しませんと、効果はありません。

14.エピペン

@アナフィラキシーの症状が出てから30分以内に使用することが重要です。
エピペンの使用は早ければ早いほど良いことになります。

A食物によるアナフィラキシーにはエピペン(0.15r)を使われることが多いです。

B「蜂」の虫刺によるアナフィラキシーにはエピペン(0.3r)を使われることが多いです。

C実際の使用率は日本では0.41%〜0.88%とまだ低い状況です。

D有害事象の発生頻度
エピペン(0.15r)1.6%・エピペン(0.3r)0.84%ととても低いものです。
ほとんどの有害事象は自然に改善していきます。

E過去に重症のアナフィラキシーをおこしたお子さんではアナフィラキシー症状の早期に使うことが重要です。
エピペンを使ってアナフィラキシーの重症化を防ぐことが大切です。

F「蜂」のアナフィラキシーは発症後5分以内・「食物」のアナフィラキシーは30分以内におこる傾向がありますので、できるだけ症状の早期にエピペンを使いましょう。





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