子宮頸がんワクチン(4価)ガーダシル
子宮頸がんの予防
〜新しいHPVワクチン(ガーダシル)で得られること〜
〜佐賀大学 岩坂 剛先生講演会より〜
1.子宮頸がんは〜
@年間1万人の女性が発症しています。このうち半分の五千人ほどが亡くなっています。
A主に、20〜30才代の患者さんの罹患率が増えていて、それに伴って死亡率も上昇しています。
2.HPV(ヒトパピローマウイルス)
@HPVの16型と18型が、子宮頚がんの原因の60%を占めています。
A性感染症である尖圭コンジローマでは、90%以上がHPVの6型か11型の感染が原因です。性的接触により感染します。
B母親が尖圭コンジローマの場合、出産時に赤ちゃんに感染してしてしまいます。そうすると赤ちゃんが再発呼吸器乳頭腫症を起こす事があります。
C皮ふにできる「いぼ」はHPVの1型か2型、7型の感染で起こります。
D外陰上皮内腫瘍や膣上皮内腫瘍はHPVの6型・11型・16型・18型の感染で起こります。
EHPVワクチンでHPV感染の60〜70%を予防することができます。
3.尖圭コンジローマ
90%以上はHPVの6型か11型が原因です。
患者さんからパートナーへの感染により起こります。
発症率は75%以上と伝染力がとても強い特徴があります。
20〜30才に多くみられます。
4.HPVと再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)
妊婦さんが尖圭コンジローマを発症した場合に、出産時の母子感染により生まれてくる赤ちゃんが「再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)」を発症することがあります。
乳頭腫(良性腫瘍)はHPVの6型と11型の感染が原因で、咽頭や喉頭にできやすい傾向があります。
再発を繰り返すために手術による治療が必要になります。
嗄声(声がかすれる)や気道に閉塞をおこし、死に至ることもあります。
若年発症など予後不良で、4才までにRRPと診断されたお子さんの多くは年間4〜6回の手術を必要とします。
5.若年性再発性呼吸器乳頭腫症(JORRP)
18才未満にみられるRRPでHPV6型か11型の感染が100%みられます。
母子感染が多く50〜60%のお母さんに尖圭コンジローマがみられます。
妊娠時に尖圭コンジローマを合併している場合のJORRPになる確率は妊娠時に尖圭コンジローマを合併していない場合の230倍と極めて高くなります。
6.子宮頸がんの二次予防
子宮頸がんの健診率は先進国で60%を超えていますが、日本の健診率は24.5%と極めて低い状態です。
ちなみに米国の健診率は83.5%と最も高くなっています。
7.子宮頸がんの一次予防
@HPVの6型と11型は性感染症をおこして16型と18型は子宮頸がんをおこしてきます。
A子宮頸がんの一次予防は子宮頸がんワクチンとなります。
ワクチンの適応は9才以上の女子になります。
成人女性は45才まで接種が可能です。
8.新しい子宮頸がんワクチン(4価ワクチン)
@ガータシルの予防効果は100〜96.9%と高い特徴があります。
ワクチン接種後は7ヶ月後に抗体が十分に増えてきます。
A子宮頸がんだけでなく、外陰上皮内腫瘍や膣上皮内腫瘍や尖圭コンジローマの予防が可能になります。
BHPVに過去感染した人で、今はHPVが検出できない状況の人には4価ワクチンは効果があります。
CHPV18型の抗体量が4価ワクチンでは5年後に少し低下してきますが、ワクチン接種後の4年後や7年後でも癌の病変がおきていないので、HPVの抗体の量が少なくても癌の予防効果があるのかも知れません。
D若年性に4価ワクチンを接種した方が抗体の上昇がよいことがわかっています。
できるだけ若い時期にワクチンを接種するとよいことになります。
E中学生から高校生の初交経験率が上昇していますので、少なくとも中学1年生には接種しておくことがよいと思われます。
F4価ワクチンの主な有害事象は「注射部位の疼痛」です。
G子宮頸がんワクチンは従来型の2価ワクチン(サーバリックス)と新しい4価ワクチン(ガーダシル)があります。
HPVの16型と18型の抗体価は2価の方が4価より高い傾向にあります。
ただしこれは4価の方が癌の予防効果が2価より低いということではありません。
注射部位の疼痛などの有害事象は2価の方が4価より高い傾向にあります。
H新しい4価のワクチンで得られないこととしては、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)を予防できるであろうと考えられています。
HPVにおこりうる咽頭がんや喉頭がんの予防もできるであろうと考えられています。
I2011年9月15日から野田市におきましても公的助成が始まります。
野田市公的助成について
9月14日(水)以前にガータシルを接種した場合には、助成の対象にはなりません。
同じワクチンで3回接種を完了することとなっています。
接種を開始している方が、別のワクチンを接種した場合は助成の対象となりません。
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