わが国のワクチンで防げる病気の状況と予防接種の今後の展望について
〜ワクチン先進国にむけて〜
国立成育医療センター 斉藤昭彦先生講演会より
@ポリオ生ワクチンの関連麻痺は発生は年間2例です。一回目の接種と男の子の接種に多くみられます。
AB型肝炎は「父子感染」が増加しています。
唾液や汗・尿・涙から、お父さんからお子さんへ感染します。
先進国のほとんどはB型肝炎ワクチンを定期接種しています。
Bおたふくの合併症は、髄膜炎1〜15% 脳炎0.02〜0.3% 難聴4% 睾丸炎25%と卵巣炎5%(思春期のケースにみられます) 膵炎4% 「おたふく」にかかった時にこれらの合併症を起こす可能性がありますが、おたふくワクチンを接種していると合併症の発生が極めて少なくなります。
C水痘は合併症として(a)細菌による二次感染症(b)小脳失調症(c)脳炎(d)分娩直後前後での新生児における重症水痘感染症がみられますが、水痘ワクチンを接種していると合併症の発生を少なくすることができます。
D「筋注」と「皮下注」
筋注は皮下注に比較して(a)局所反応(接種部位の痛みや腫れ)(b)免疫反応の上昇がよい傾向があります。
E同時接種
複数のワクチンを同時に接種しても有害事象の上昇はみられませんし、免疫を獲得することについても影響をおこしません。
海外では複数のワクチンの同時接種は通常におこなわれている医療行為で安全性には全く問題はありません。
F集団免疫
個人にワクチンを接種するだけではなくワクチン接種をして社会全体を守ることが大切です。
すなわちお子さんに予防接種(ワクチン)をしないということは、お子さんを病気にかかるリスクにさらすことになります。
G有害事象
(a)例えばヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを100万人に接種した場合に0.2人の死亡がワクチンと関連なく死亡しています。
(b)ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを中断することで、実際に肺炎球菌感染症やヒブ感染症に感染するお子さんが増加します。また他のワクチンの接種率が低下してしまいます。
H今後は水痘ワクチンとおたふくワクチンがそれぞれ2回接種・水痘ワクチンとおたふくワクチンの同時接種が必要となってきます。
B型肝炎ワクチンはセクシャルデビューする前には接種することが望ましくなります。
I成人になってからの百日咳対策として、三種混合ワクチンを0.2ml接種という少量療法をすることによって百日咳の免疫力(抗体価)が上昇することがわかっています。
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