「知って得する外用療法のコツ」
〜東京逓信病院 江藤隆史先生 講演会より〜
Aステロイドのぬり薬では、次のような副作用は起こりません。
@ 顔が丸くなる
A 骨がもろくなる
B 色素沈着(皮ふが黒くなる)
C 光にあたると色素沈着をおこす
D 皮ふが象のように硬くなる
@とAはスAテロイドの飲み薬で起こりうるもので、ぬり薬では起こりません。
BCDはステロイドのぬり薬では起こりません。
色素沈着は、中途半端なステロイドのぬり薬の使用が皮ふを黒くしてしまうのです。
例えば、ステロイドのぬり薬を使い、少し皮ふの状態が良くなると使用を止めて、また皮ふが悪化したら使う・・・というような方法を繰り返していくと、皮ふの炎症がおさまらず、結果として色素沈着がおこるのです。
ステロイドのぬり薬では、適切な量を適切な期間中しっかりぬることが大切です。
B 適切なステロイドのぬり薬の量は、人差し指の先端から第一関節までの長さの分量で両手のひらの範囲に相当します。
しっかりとぬるには、それなりの薬の量が必要です。
全身に使うとなると、一日あたり20gのぬり薬が必要です。
C 顔にアトピー性皮ふ炎のあるお子さんの中には、顔をかかないかわりに顔をたたく方がいらっしゃいます。
この顔をたたくという物理的刺激が、アトピー性皮ふ炎に伴う網膜剥離という重症な眼の合併症につながるのです。
このようなお子さんには、網膜剥離を防ぐためにプロトピック軟膏がとても有効です。
プロトピック軟膏には次のような利点があげられます。
@ぬり薬の効果のレベルでは、中等度〜強度のステロイドに相当します。
Aかゆみが著明に改善します。
Bステロイドのぬり薬と異なり、正常な皮ふには吸収されません。炎症のある部位にのみ吸収される特徴があります。
C眼に入っても心配ありません。
目の周囲にぬってしみる場合は、保湿剤のプロペトをぬった上に使用するとしみません。
Dステロイドのぬり薬で良くなった後に、週2回ぬっておくだけで皮ふは良い状態を保つことができます。
D 小児のアトピー性皮ふ炎のほとんどは食物アレルギーが原因で悪化している訳ではありません。
ステロイドのぬり薬をしっかり使用すれば、食事制限は必要ありません。
E ステロイドのぬり薬と保湿剤の組み合わせによって、薬の効果が低下したり増加したりするので注意が必要です。
例えば、ステロイドのぬり薬と混合して効果が良くなるのは「ヒルドイドソフト」や「ネリゾナユニバーサルクリーム」、「パスタロンソフト」です。
反対にウレパールと混合すると効果は低下してしまいます。
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